【新企画】業界地図をつくります。「Community Forest」をつくった理由

企画

「地図をつくろう」と思う。森林、林業、木材業の業界地図だ。おそらくいままで存在しなかっただろうし、わたしのような人間がやらねば未来永劫生まれない。

なぜか。おそらく理由は2つある。

1つはコストが合わないからだろう。業界地図をつくるにはおそらく、とんでもない手間と時間がかかる。それこそドラマでみた辞書づくりのように丁寧に拾い上げて作成していく。東洋経済新報社が刊行している『会社四季報』に林業のページがないことからわかるように、採算性が合わないんだなとすぐにわかる。それは市場規模が小さいからだろうし、就職したい人が少ないからだろう。他業界の人は動かない。ならば、他人に期待するのはやめよう。わたしが見たい地図はわたしがつくる。至極当たり前のことに気づく。

もう1つは、全体図を俯瞰してみている人が圧倒的に少ないからだろう。

森林と一言でいっても期待されている機能は多くある。それは『森林・林業白書』をみればわかる。木材生産や国土防災、生物多様性、地球温暖化防止対策などなど。ほかにも山村の貴重な雇用の場として捉えられる。これらの議論はしばしば“ごちゃまぜ”になって議論される。

わたしは大学時代から、森林、林業、木材業の現場に足を運んでおり、現在も業界紙の記者として日々取材を繰り返してよりリアルを届けられるように努力している。大学時代には1年間休学して、北海道から九州の山村や林業地を旅していた。まわった地域は50か所以上だった。

そして勉強や経験を重ねる度に思った。

「マジでよくわからない業界だな」と。

先に挙げたように森林は様々な期待を背負っている。そして期待に応じた森づくりを実施している。たとえば木材生産であれば、スギやヒノキ、マツなど針葉樹を一斉に植樹して人工林をつくった。国土防災であれば、崩落地や急斜面に広葉樹を植えるなど緑化事業を実施した。このとき経済性より、麓の国民を守るために国土防災の機能が重視される。一方で国立公園のように生物多様性が重視される場合もある。なるべく人の手を加えず、ありのままの自然を活かすようにする。

ではひとつ聞きたい。これらの森づくりは同じなのか?

答えは否だ。経済性を重視した人工林は生物多様性が少ない森林を生んだし、緑化事業で植えられた樹木を木材として伐採できないだろう。森づくり(=林業)といっても根底にある価値観が異なる。そしてなぜか、違う価値観がぶつかったときに、相手を否定してそんな方法は間違っていると決めつける。

近年、大規模皆伐(ハゲ山にする行為)が大手メディアからも取り上げられるようになった。4mの林道を入れて、高性能林業機械を駆使して大量の木材を生産する。これが良いか悪いかと聞かれたら、立場によって異なるだろう。環境重視した森づくりしている事業体や団体などから「あんな森づくりをしていれば、山が崩壊する」。そして大雨で山が崩れれば「それみたことか」というだろう。一方でそういった大規模生産している事業体の経営者からすれば、会社の売り上げが立てやすくなるので、設備投資がしやすい、従業員に給与を払いやすいなどの特徴があるかもしれない。実際に聞いてみると、業界平均給与の1.5倍以上の収入が得ていることがわかる。彼らにも守る人たちがいる。これらの人をただ糾弾するだけはできない。また川下の業者も助かっている。大量の木材を生産しても問題ないということは、製材所やバイオマス発電所がそれだけ木材を欲していることの裏返しでもある。木材生産を減産すれば、工場がストップする。川下の業者はなんとしても木材を集めるだろう。

さてほんの一例を挙げたが、立場によって価値観は違う。ではそれを十把一絡げに林業と括っても問題ないだろうか。……おそらく問題しかない。もうすでにお察しに方はいるだろうが、まだ生物多様性、地球温暖化防止を重視する人、山岳信仰を重視する人などいる。

これを聞けば、「マジで森林、林業、木材業の業界は複雑だなぁ」と共感してくれる人はいるだろう。たまに「この業界は狭い業界だよ」と聞くが、わたしからしたらとんでもない。もちろん、トッププレーヤーで駆け抜けて最新の技法も駆使しているような方で、周囲から相談を受けるような人ならばそうした感想を持つかもしれない。しかし狭いと感じるのは、その人が異分野と交流してこなかったではないか。企業人とNGO、NPOの行動原理は違うし、両者の間にはマリアナ海溝より深い溝が横たわっているときもある。

いままでは平面的に業界を俯瞰したが、立体的にみるとさらにややこしくなる。木材生産を目的としている林業事業体でいえば、山主がいて、経営者がいて、管理職がいて、現場の職人がいる。この構造は一般企業と同じだ。もっとも近いビジネスモデルは不動産業、もしくは証券会社の人だと思う。資産を預かり、資産を運用するモデルだ。山主は山林という資産を所有している資産家であるし、山林経営者は株主と経営者が異なる企業の社長、施業プランナーなどの資格を保有している人は、部長職など管理職、フォレストワーカー、キコリなど呼ばれる人は現場の従業員だ。

さてここでまた疑問が湧いてくる。

果たして山主の悩みとキコリの悩みは同じものだろうか。

答えはNOだ。

山主の木材が高く売れないという悩みと、キコリの危険を防ごうとする悩みは全く別物だ。根幹的な理由に遡ればもしかしたら同じ原因かもしれないが、少なくともすぐ手を動かせる範囲では違う。山主であれば委託する業者を変えることかもしれないし、現場の安全性を高めるのであれば、安全ズボンなどを装着する方法があるだろう。

わたしがつくりたいのはこれらの状況を横断的に立体的に表せる業界地図だ。価値観、課題、解決方法、そしてシナリオもあるならば見つけたい。もちろん、ほかにも色々軸はあるだろう。

これは大学時代、5年前から考えた構想だ。そして一度挑戦して失敗した。卒業論文という形で表現したかったが、あまりにわたしのスキルが足らなかったのと、表現方法との相性の悪さがあった。もううまくいかなかったときは、諦めた。ご協力いただいた人たちに申し訳気持ちでいっぱいになった。悔しくて涙が止まらない夜もあった。

けど一度失敗したからといって、再度挑戦しないのは間違っている。わたしがその地図をみたい。その熱はわたしのなかで消えていなかった。むしろ記者として仕事するなかで、他業界の人に説明することもあった。そのときうまく伝わらない。ほかにも間違った認識で議論が進んでいる事態にも遭遇した。不勉強だと思わない。わたしもそうだったのだから。

ただ勉強するにも、資料や書籍はたくさんあるし、分野は多岐にわたる。なんなら家具や建築はもちろん、為替なども勉強しなければ業界のリアルはわからない。わたしもまだ半人前。これらのことを全てわかるなんていえない。

だから一緒にリアルを解き明かして、業界をもっと盛り上げていきましょう。

海のように広いこの業界の地図をつくって、目的地に最短距離でたどり着きましょう。

西の海に向かいたいのに、東に漕ぎ出しているなんてもったいない。あなたのその熱はこの厳しい業界の貴重な存在だ。

立体的な表現は文章だけで説明するのは難しい。図で表現してわかりやすく伝えたい。ネットという無限に表現できる場を駆使したい。わからないことがあれば、専門家の協力を仰ごう。さっそく図解表現のプロにもご協力いただけることになった。多くの人と対話して、良い地図をつくる。これはわたしの仕事だ。

そのために「Community Forest」というメディアを立ち上げたのだ。

「みんなでよい森づくりをしていきたい」そんな想いでつけた。

少しでも興味を持った人はメール、コメントなどほしい。

アドレスはこちらから。

community.forest.69@gmail.com

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ここまで読んでくださり本当にありがとうございました!

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